半自動スライドホイッスル演奏機
スライドホイッスルという楽器の存在を最近しりました. 筒の中に入る棒の長さで音高を調整する楽器です. 目的の音を出す位置まで自動で棒を動かすことができれば 奏者はただ息を吹くだけで演奏できるようになるのです. ギアを使った工作は未経験だったので勉強ついでに作りました.
以下,製作記録です.
基本設計
棒を出し入れする機構が必要になります. 静音性重視でVCMを使う方法や,棒を固定し筒側を動かす方法も検討しましたが, 今回はシンプルにラックギアを棒に取り付け,ステッピングモータで位置制御する方針を採用. というのも,digitの移転セールでステッピングモータ(TS3166N913)を80円で入手していたためです. ラックギアには,タミヤの工作キットを活用させていただきました.
タミヤ 楽しい工作シリーズ ラック&ピニオン ギヤセット | タミヤ
タミヤのこのシリーズはミニ四駆同様,歯車のモジュールが0.5です. 規格が統一されているのは非常にありがたい. 購入したステッピングモータ の軸はφ5のDカットです. これにとりつけられるギアはさすがにタミヤにはなく,そしてこのサイズでは通常,ねじ止め歯車を使います. さっそく,KHK歯数56の格好良いギアを買いました.
しかしこの歯車,写真のように50g弱の重量(いもねじ含む)があり, これをステッピングモータ に取り付けたところ, 歯車重量によってモータの姿勢によっては回転運動が妨げられることが発覚しました. 試験時にはモータを横置きにしていたため発見が遅れました. 格好良い歯車なのに...残念. そこで,歯数30のギアを改めて購入.大幅に軽量化されました(写真). 30歯数の歯車を,タミヤのラックギアセットに入っていた42歯数歯車で受け,1.4倍の減速をかけます. 笛の可動部自体を軽く作っているので,問題なく動くはずです.
モータドライバには,PololuのDRV8835を使用.
デュアルモータードライバDRV8835 - スイッチサイエンス
ステッピングモータもDCモータも動かせる偉いやつです. MCUには私の愛用,PIC16F1705を使います. モータ自体はDC12Vまで使用できます.本作では5V-12Vの間で振ってみたところ, 5Vでも問題なく動作したので5V給電することにします.
3Dモデル用意
ギアボックス及び笛を設計します(写真). ギア間距離は,m=歯車のモジュール,Z1,2=歯車1,2の歯数とすると, (Z1+Z2)m/2 [mm] で計算されます.3Dプリンタの印刷誤差を考慮し,0.2mmほどマージンを設けました.
インテグレーション
写真が印刷結果です.その他,ねじやシャフトなど,構成部品を全て写してあります. この頃,自分の3Dプリンタは私の元を離れていたため,友人のAdventure3で印刷してもらいました. 素晴らしい仕上がりです.惚れます. 3mmシャフトは,モノタロウで18mmのものを長さ指定購入しました. なお,ギアボックス本体と天蓋でシャフトを挟んで固定するために, 天蓋をネジで止める部分にはインサートナットを埋め込んでもらいました.かっけー
ギアボックスの白い部分は,上述したように歯車の変更があったので, ギア間距離調整のために埋めた跡です.
そして肝心の笛は位相を90度ずらした二箇所をネジ締結する方式です. うち一箇所はモータと干渉しないようにざぐりをいれています.
ソフトウェア
ステッピングモータの資料が読める猿なら誰でも書けますのでバナナを食べながら書きました. MCUへの書き込み機も3Dプリンタ同様私の元を離れていたため,amazonで500円くらいのものを買いました. ソースコードは下記URLから参照できます.
https://github.com/wvogel00/SlideWhistle
完成
完成です. 演奏動画を下に貼っておきます. 手が赤いのは持病のせいですw
高音部分が音が出にくいので改良の余地がありますがとりあえず,めでたしめでたし